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  • 執筆者の写真真佐子 鳥谷

町の文化的ハブー富山県朝日町まいぶんKAN

小さな町の文化施設



2018年8月19日,富山県朝日町の小さな埋蔵文化財保存活用施設,まいぶんKANにお邪魔しました。近くには,縄文時代中期の住居が復元整備されている国史跡不動堂遺跡があります。


まいぶんKANではさまざまな体験学習を提供しています。勾玉づくり,あじろ編み,火起こし体験,縄文土器づくりなど,楽しく体験をしながら古代の生活を学ぶことができる大人気の施設で,メディアに取り上げられることもしばしばです。

この日は土器作りを体験させていただきました。


町へのさまざまな形での貢献


その後,さゝ郷ほたる交流館に場所を移し,まいぶんKANの学芸員の方に,我々研究チームが開発した博物館活動評価フレームワークを用いた評価指標作りを体験いただきました。


まいぶんKANのミッションは「地域の人に郷土への愛着を育んでもらう」ことです。このミッションを果たすために必要な機能を書き出していくと同時に,今施設で行なっている活動を機能として表現していきました。

すると,野田市郷土博物館でのワークと同様に,明文化されていないミッションが存在することが見えてきました。

それは「文化財を使って地域の人々の自己実現を応援する」,「地域の人に郷土に対する誇りを持ってもらう」ということでした。これらの表面化していないミッションは,学芸員個人の活動ポリシーの中にあり、しかもそれが非常に重要な意味を持ち、館の活動に大きく影響していることがわかりました。



設置条例に基づく行政上の必要用件としての機能も当然存在します(上図,赤字)。これらの機能がきちんと挙げられているかどうかを確認する作業も必要であることがわかりました。また,外から町に人を呼び込み,交流人口を増やすことにつながる機能(上図,青字)も果たしていることが可視化されました。これらの機能がまいぶんKANの評価項目に反映されると,文化財を保護・修復・展示・保管するという行政上の機能だけではない,町への貢献がもっと評価されるのではないかという気づきも得ることができました。


(*なお朝日町の場合は文化財収蔵施設建設助成の交付金により施設を建てているため、行政上の要件は文化財の収蔵保管と展示だけ。ただし10年を経て補助事業期間を終了しているのでこれからの方針については検討中とのこと。制度的な背景を事前に確認してワークショップの準備を進める,または文化財・博物館行政の実務に詳しい方の協力が必要かもしれない。)


このようにミッションから機能分解をしていくと,博物館全体の機能を網羅することができる一方時間もかかります。例えば,体験学習に関連する機能に着目するなど,どこか一部にフォーカスを当てるなどの調整をするとよいかもしれません。



次の顧客価値連鎖分析(Customer Value Chain Analysis)を用いたステークホルダー間の価値連鎖の分析では,まいぶんKANを中心に価値のやり取りが集中している様子が浮かび上がりました。来館者や監督行政である町との関係のみならず,地元の図書館,公民館などの文化施設や学校への協力,地域住民(自治会)との史跡整備を介した協力関係など,町の文化的活動のハブとなっていることが可視化されました。

さらには,新聞等のメディアへの露出も多いまいぶんKANは,自治体からの期待である町おこしという点についても価値を提供しています。

つまり,教育,生涯学習,(一部ではありますが)観光,といった町の活性化を担う中心的存在となっていることがわかりました。

いかにまいぶんKANが地域にとって重要な役割を果たしているかということがよくわかります。


ワークショップはここで時間切れとなってしまったので,後日,学芸員の方に評価項目作りまでを行なっていただきました。


フレームワークを用いて評価項目作り

イネーブラーフレームワークで特定したまいぶんKANが果たすべき機能に,どんなステークホルダーが関わるか,関心を持っているかを考え「価値の享受者」の欄に書き込んでいきます。

そして,それらのステークホルダーがどんな価値を期待しているかを書き込みます。

例えば,学びの場を作る機能に対して関係するステークホルダーである小学生は,「楽しい時間を過ごす・達成感を得る」ことを期待します。そこで,評価の観点は「人と交流できたか・達成感を得たか」ということになります。そこから,「また参加したいと思ったか,再来館が増えたか」という評価項目が導かれます。また,「参加時の他の人との交流度合い」や何かを作る体験をした際の「達成感」を指標としても良さそうに思います。


以上が評価項目作りのプロセスです。

大変な労力をかけていただきました。ありがとうございました。


評価項目作りの意義


作業後,「今回は一人で評価指標を考えたため,指標が適切だったのかわからない。指標を作るときは、博物館学芸員、教育委員会、その他のステークホルダーなどの様々な立場の人の意見を予めヒアリングできればよかったと思う。」という感想をいただきました。


また,「個々の学芸員がワークショップを企画する際に、企画ごとの方向性や目的のばらつきをなくし、ブレなく実施できるためにも、来館人数のような画一的な評価以外に評価方法をもつことは重要。ワークショップの目的が単なる「にぎやかし」となってしまわないよう、ステークホルダーや参加者の得るものにどれだけ答えたかをもっと深めて考えて、それに対する評価がきちんとされれば、ワークショップを迷いなく行えるようになるのではないか。」と,本研究が取り組む課題についての重要性についての感想もいただきました。


まいぶんKANの活動評価項目作りを終えて・・


まいぶんKANの評価に実際使われているのは,(2018年当時は)来館者数だけだろうとのことでしたが,町議会,他の文化施設,地域住民等のさまざまなステークホルダーが,まいぶんKANの重要性を十分認識しているため,あえてそれ以上の評価指標を必要としていない様子が伺えました。それだけうまく回っている施設でしたので,我々研究チームがこのワークを通して直接貢献できることはなかったのですが,まいぶんKANのような小さな館でも,このような評価項目作りワークが実施できるという良い事例を示していただきました。


ご協力誠にありがとうございました!


おまけ


次の日には,不動堂遺跡でのとても素敵なダンス撮影を拝見することができました。

















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